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INTERVIEW

2019/3/11

「ハルカトミユキが奏でる、儚くも赤裸々な音楽」 ハルカトミユキ インタヴュー

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アニメ『色づく世界の明日から』とコラボした新曲“17才”が話題を呼んだハルカトミユキ。インディーズデビューから7年――大学で知り合った 2 人の、決して交わらないねじれの位置が生み出す音楽とは?

 

小説や短歌などの文学表現にも精通したハルカと、オルタナティヴ・ロックから最新のヒップホップまでマニアックな音楽偏愛を隠さないミユキによるデュオ、ハルカトミユキ。初のアニメ・タイアップ曲を収録したシングル『17才』のリリースに続き、昨年12月から今年にかけては全国ツアー・ライブを開催。そんな今目が離せない2人に、音楽制作の秘話やこれまでの活動、音楽に興味を持ったきっかけ、そして「新章」を掲げたこれからのハルカトミユキについて語ってもらった。

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Photo:櫻木ひとみ

新しいハルカトミユキの『17才』

——ニューシングル『17才』のリリースおめでとうございます!

ハルカ・ミユキ:ありがとうございます!

——今回のレコーディングで印象に残ったことや、収録時に大変だったことを教えていただけますか?

ハルカ:全部で3曲入っていて、最初は2曲目(「朝焼けはエンドロールのように」)をメインでいこうかっていうつもりで作ってたんですけど、中々そっちの曲がうまく進まなくて。その時にアニメ(※『色づく世界の明日から』)のタイアップのお話をいただいて、「17才」を作ることになったんです。そこから全然違うテイストの「17才」という曲を作りつつ、どっちの曲も進み出したんです。なので「17才」は曲自体すぐにできて、歌詞もアニメの台本を見ながら書いたので、わりとカチッとハマったっていう感じでできました。

——ミユキさんはどうですか?

ミユキ:ニュアンスというか、「どういう風に歌うのか?」で結構時間が必要なんですけど、でもそこが決まればすんなりと録れるんです。2曲目は打ち込みが多めだったんですけど、シンセとピアノに関しては曲によって生にするのか打ち込みにするのかで結構変わってくるんです。今回、2曲目は人間味がほしかったのでグランドピアノを生で弾いて録りました。

——表題曲である「17才」は、どんなアイデアや音楽的なコンセンプトをもとに生まれた曲なんでしょうか?

ハルカ:これはアニメの話をいただいてから書き始めたので、それがなかったら今までのハルカトミユキとしては自然にはできてこなかった曲だろうなと思います。アニメの映像とあらすじを見てからメロディも歌詞も合わせて書いて、キラキラしたアニメなんですけど、でも私たちが書くからにはどこか影を背負ったようなものにしたくて。でも、あらすじ自体はやっぱりどこか寂しげな主人公がいて、そこから始まるお話だったので、ただ輝かしくて楽しいだけの歌詞じゃなくて、なにか裏側にあるような儚い青春時代というのを書けたらいいなと思って書きました。

——今までのハルカトミユキとは違った楽曲になってますよね。

ハルカ:そうですね。曲調がまずこういうのがあまりなかったので。歌詞も(アニメの)映像と合わさって初めて完成というところがあるので、今までだったら歌詞だけに「もっともっと深く込めなきゃ」って思っていたのが、ある意味で映像に頼れる部分もありましたね。初めて曲を聴いた人が作品の世界をイメージできればいいなっていう、今までとはちょっと違った感覚で書いた楽曲です。

——2曲目の「朝焼けはエンドロールのように」はロック色が強い曲調になっていますが、これはどのようにして作られた楽曲なんでしょうか?

ミユキ:イメージとしては――今までに3枚アルバムを出しているんですけど、1枚目の『シアノタイプ』は怒っているんだけどすごく熱量があって、冷たいんだけど内に秘めているものがすごく強かったり、っていうものになっていて。よくハルカが、赤い炎じゃなくて「青い炎」っていう表現をするんですけど、そういうものを表現したくて、ロック要素がありつつ1枚目に近いような形で、でもそこをアップデートしたものを作りたかったんです。だけど、自分らしさを追い求めることってすごく難しくて。曲ができたところまではよかったんですけど、「これが今までを超えるものだったのか?」とか、「歌詞と曲がハマった時にどうなるんだろう?」ってすごい悩んじゃって(笑)。それで「17才」のお話をいただいて、そうした悩みを一切忘れて「この作品に合う曲ってどういうのだろう?」っていう風に考えられたので、すぐ曲ができて歌詞もハマって。

——なるほど。

ミユキ:それができた時に、「そこまで自分らしさを追い求める必要はないんだ」って気づけて、フラットな状態で「朝焼けはエンドロールのように」を改めて聴いた時に、「やっぱりこの曲を出したい、今出さなきゃいけない曲だ」っていうのをすごく思いました。そこで改めて歌詞も書き直して、曲も見つめ直してやっと完成したんです。「17才」っていう曲はすごく光を感じる曲だと思っていて、反対に「朝焼けはエンドロールのように」は影を感じる曲で、でもその二つがハルカトミユキにとってすごく大切なことで両方表現したいことなので、今回この2曲が出せたっていうことはすごく意味があることだなと思ってます。

——一方、3曲目の「そんな海はどこにもない」は、歌人の穂村弘さんが歌詞を手がけられたそうですね。

ハルカ:曲自体はちょっと前からあって、歌詞を穂村さんにお願いしたんです。穂村さんは作詞家ではないんですけど、言葉がすごく好きなので、是非一度お願いしたいなと思っていて。この曲はアカペラなので、ちょっと面白いことが起きそうだなって思ってお願いしました。実際に会って打ち合わせをしたんですけど、私は「こういう風にしてください」とかまったくない状態で書いて欲しくて。その会話の中で「子供の頃はどんな感じだったの?」とか、「一番怖いものはなに?」とか、私はただそれに答えていっただけなんですけど、それがそのまま歌詞に反映されているんです。

——穂村さんが書いた歌詞を見た時はどんな印象を持たれましたか?

ハルカ:やっぱり、「あ、穂村節だな」って思いました(笑)。いい意味で作詞家じゃない言葉の面白さっていうのがやっぱり出ていて。自分も歌詞を書く人間として、別の作詞家さんが書かれたものだと歌った時に拒絶反応みたいなものがあったかもしれないんですね。でも、穂村さんが書いた歌詞には全くないというか、本当に詩として書いてくれたし、自分が書いたのかと錯覚する部分もある。すごくすんなりしていて、でもエッジが効いていて面白いなと思いましたね。

——ハルカさんは短歌がお好きとのことで、今回歌詞をつけていただいていかがでしたか?

ハルカ:詞を書いてもらうっていうのが初めてだったんですけど、とても新鮮でしたね。ただ、そこはアカペラだったからすんなりハマったのかなっていうのもあって。私も歌詞を書く時に短歌を読んだり、自分で(短歌を)書いてそれを歌詞にしたりっていうことも結構やってきていたので、その辺が違和感なく受け入れられたというか、自分の歌として歌えたのかなって思いました。

——この曲に楽器のアレンジを加えるとしたら、どんなものになりそうですか?

ミユキ:歌詞が強烈なのでなかなか難しいですね(笑)。考えてみたことはあって、ライヴで1回ピアノとか合わせてみたらどうかなと思ったんですけど、やっぱり何も手をくわえてはいけない曲っていう印象があって。

ハルカ:あえてドラムだけとか面白そうじゃない?(笑)。

ミユキ:あ〜、確かにね!

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Photo:櫻木ひとみ

ハルカとミユキの原点

——お2人が音楽を始めようと思ったきっかけはなんですか?

ハルカ:小さい時から普通に、(自分は将来)会社には行ってないだろうなっていうのがあって(笑)。でも歌手になりたいとは思ったことなくて。そのまま中学に上がって、その時に音楽を聴いていても歌詞ばっかり頭に入ってくることに気づいたんです。それで「あ、わたし歌詞が好きなんだ」と思って、作詞の真似事みたいなのを中学生で始めたんです。でも高校生になって、詞ばっかり書いてても面白くないなと感じて、「曲をつけて歌った方が目立つじゃん」って思ったんですけど、ギターとかが弾けるわけでもなかったので軽音楽部でひたすら歌ってました。そのあと大学に入って、自分の書いた詞にやっと曲をつけれて、ミユキと出会ってハルカトミユキを組んだっていう感じです。そこから歌を歌って自分の言いたいことを表現できたらいいなって思い始めました。

ミユキ:私は3歳からピアノをやっていて、高校でNIRVANAっていうアメリカのバンドのイケメンなギターヴォーカルの人がめっちゃ好きになって、大学でギターヴォーカルをやろうって思って音楽サークルに入ったんです。私は趣味として音楽をやりたいっていう感じだったんですけど、ハルカと出会ってハルカトミユキを組んだんです。それからオリジナル曲を作り始めたんですけど、すごく楽しくて。そんな時にハルカが勝手にソニーのオーディションに応募したんです(笑)。それでライヴにソニーの人が来て、「一緒にやりませんか?」って話をしてくれて。そこで初めて「あ、ほんとにやるのか」って思って、普通にそのまま大学生を過ごしちゃって(笑)。就活もしちゃってたんですけど、面接のときに「あなた何をやっていたんですか?」って聞かれて、私は自分たちで作ってた音源を見せて「こういうの作ってました。これからも音楽活動したいと思ってます」って言ったんです。そしたら、「じゃあ、あなたは就職なんてしないで、その道をやっていたらいいじゃない?」っていうことを言われて。それでプロになろうって思って、そこから音楽をやっていこうっていう意識になりました。

——ハルカさんの歌詞には男っぽい印象があって、暴力的な表現も多いですが、歌詞を考える際にはどんなことを大事にされていますか?

ハルカ:昔からずっと思ってるんですけど、私がなんか曲を聴いた時に、直接的な言葉で慰められてたり励まされたりっていうのがあると「うるせえよ」って思うんですよ(笑)。だから、そういうことはしたくなくて。聴いた人が勝手に励みになったとか傷が癒えたとか、そういうものになりたいなとは思っています。なにかを直接的に応援するとか、「あなたはこんなに素晴らしいんだよ」とかは絶対に言わないで、そうじゃない方向で、でも絶対そこに希望があるってことを入れないとって思っていて。だから結果的に、ちょっと暗いテイストから入って、でもちゃんと希望があるよねっていう歌詞を書いてます。

——歌詞に興味を持つきっかけになったアーティストはいますか?

ハルカ:昔からテレビで流れている音楽があんまりわからなくて。そんな時にたまたま「バンド」っていうものに出会って、その時に聴いたのがBUMP OF CHIKENと銀杏BOYZだったんです。2つとも結構タイプが違うんですけど、曲を聴いた時に「思ってることを言ってくれるな」って思ったんです。「あ、なんでこの人たちは私のことわかるんだろう?」って思ったし、「こういう気持ちを大々的に歌っていいんだ」ってその時にすごい思って。「綺麗なことばかり言わなくていいんだ」っていうきっかけになったバンドかなと思います。

——ミユキさんにとって、作曲する上でのインスピレーションにはどういったものがありますか?

ミユキ:作曲する時は基本的に、コードにどんな音を当てるかとか、ギターの好きなコードとかを聴きつつ「何がいいんだろう?」って考えてます。でも今回初めて、「そんな海はどこにもない」を鼻歌で作ったんですよ。私はどっちかっていうと、トラックを構築していく作り方が多いんですけど、ハルカは割と鼻歌で歌いながら構築していくことが多くて。それを聴いて「やってみよう!」と思って、初めて挑戦してみたんです。あと、私はわりと洋楽の方が好きなので、英語の譜割――最近だとPost Maloneみたいなヒップホップ・アーティストとかすごく独特で面白いなと思ってて、そこからインスピレーションをもらって作ったりもしてますね。

ターニングポイントとインスピレーション

——昨年リリースされた最新アルバム『溜息の断面図』ですが、こちらの制作はどんな感じでしたか?

ハルカ:レコーディングはカツカツで、歌入れの日に歌詞がまだ1行くらいできてないこととかがちょいちょいあって、1行考えながら歌ってっていうのを夜中通してやったのが大変でした。ミユキもミユキで、イントロのフレーズが決まらないで何回も書き直したりしてたので、そういう苦労はすごくありましたね。

——アルバムの中で特に印象に残っている曲はありますか?

ハルカ:私は「近眼のゾンビ」ですね。原型が結構古くからあって、やっと日の目をみた感じです。ライヴでも結構激しいパフォーマンスができる曲になったので、諦めなくてよかったなって思ってます。

ミユキ:私は「インスタントラブ」か「終わりの始まり」ですね。「終わりの始まり」は、ハルカトミユキを組んだ当時からの怒りとか葛藤とかをテーマに描いた曲で。私たちにとっても大切な一曲だし、初めてちゃんと曲にできたっていう感覚が自分の中にあったので、友達に「どう?」って聴かせたら「NIRVANAっぽいね」って言われたのがすごい嬉しかったです。逆に「インスタントラブ」は、私すごい80年代のポップソングが好きで、曲はすぐにできたんですけど、「これってハルカトミユキとしてどうなんだろう?」って思って。でもみんなに話してみたら、「いいよ、やってみなよ」って言ってもらえて。それで出来上がったんですけど、そこにハルカが皮肉な歌詞を入れると、すごく明るい曲なのになんかすごいことになってて、面白いなって思いましたね。ライヴでやったときも、どっちかっていうと暗い曲の方が多い中にぽんっと「インスタントラブ」が入るだけですごく華やかになったりするので、そういう意味でも作ってよかったなって思った曲です。

——2015年から翌年春までやられていた「毎月新曲発表」ですが、これはどういうきっかけで始められたものだったのでしょうか?

ハルカ:それまでしばらくリリースがなくて期間が空いてたのと、その間に私も結構悩んでいて、曲も歌詞も書けないっていうときがあって。それで起爆剤じゃないですけど、無理矢理にでも書いて出すっていうのを宣言しようっていうことで始まった企画です。

——昨年11月に配信された「手紙」という曲は映画『ゆらり』の主題歌になっていますが、歌詞とメロディがとても素敵でした。この曲はどのようなイメージで作られたんですか?

ハルカ:主題歌になるのが決まってから作った曲なので、映画のイメージで書き下ろした楽曲です。“家族愛”という映画のテーマから、「家族だから言えなかったことも、手紙だったら言えるかも」と思いついて「手紙」というタイトルにしました。(家族に言えず)後になって後悔したことが自分にもあったので、ほんとに手紙を書くような感じで歌詞を書きました。

——先ほどの「17才」や「手紙」も外からオーダーがあって生まれた曲ということですが、それがきっかけで自分の中にあるものを改めて発見したり気づくことができたりしたという部分もありますか?

ハルカ:そうですね。私は基本的にはフィクションって書けないんです。そうするとどうしても実体験から広げていくことしかできないから、結局そんな体験っていうのも限られてくるじゃないですか。なので、どうしてもネタ切れみたいなのになってしまうんです。でもストーリーとかがあると、まったく100%自分が経験したことじゃないけど、どこか自分とシンクロする部分があるなって思うとそこから広げていけるので、すごく書きやすいなと思います。

——作詞を自分の体験とリンクさせるとなると、どうしてもストックが減っていかざるを得ないので大変ですよね。

ハルカ:そうですね(笑)。私は本を読むのが好きで、小説もエッセイも短歌とかも読むんですけど、実はそういうとこに、直接的に詞の表現には結びつかないけどヒントがあったりするんですね。それこそ「ニュートンの林檎」だったら、例えば飛び降りた学生がいたとして、その子はただ重力で落ちていっただけとも言えるんです。本当は精神的なもので落ちたんだけど、重力で落ちたとも言えるっていう、その可笑しさとか違和感みたいなのが“ニュートンの林檎”だなって思うんです。そういうのが、本を読んでいると頭の中で点と点が線で結びつく瞬間っていうのがあって。それがだいぶ作詞には役立っているかなって思います。

——ミユキさんは海外の楽曲が好きだとおっしゃっていましたが、日本の音楽シーンと海外の音楽シーンはよくも悪くも全く違うので、海外の楽曲から受けた刺激を「ハルカトミユキ」としてアウトプットしていく上で難しさみたいなものもあるのではないでしょうか?

ミユキ:やっぱりどうしてもそのまま思い切りやってしまうと、好きなものの真似になっちゃう時もあるんですよね。なので、例えば「この曲のBメロがいいな」っていうのがあったら、その一部だけをメモってストックしたりしていて。そうしておくと、いつもと同じような手癖だとかメロディだとかになったときに、ストックしておいたものを見て「あ、こういうメロディの動き方もあるんだ」って思って、ちょっとずつ反映させていくことができるんです。私は海外の楽曲のコード進行はわりとつまんないなっていうイメージがあって、日本は日本で転調の使い方がすごく上手で、音の構築もちょっと厚めだけど全部ちゃんと聞こえてくるっていうのがあるので、そこは両方混ぜて曲作りに使ってます。

——12月から始まっているライヴツアーはいかがですか?

ハルカ:本数が今までよりも多くて、私たちはバンドでツアーするときと2人きりで回る時と両方交互に繰り返している感じなんですよ。例えば2人でやるときに「2人だな、前と一緒だな」ってなっちゃうのは嫌なので、何か前とは違うことをやりたいなって思っていつもやってます。“バンドの省略版”って思われちゃったら嫌だし、別物にしたいし、「2人で何ができるかな?」って考えてますね。今回は初めて同期(※打ち込み)をしっかり入れてみたりとか、サンプラーでリズムを出しながら合わせてやってみることに挑戦していて。なので、2人きりなんだけど2人だけの音じゃないし、バンドとも違って歌も言葉もしっかり聞こえる、みたいな。そういうのを目指してライヴをやってます。

——今後、新しく挑戦したいことは何かありますか? 例えば、他のアーティストに歌詞や楽曲を提供をしたりとか?

ハルカ:ぜひやりたいですね(笑)。ミユキもいろんな曲を作るので、「これ、ハルカにちょっと合わないな」とか絶対あると思うので。それを他の人が歌ってくれたらすごく面白いだろうなと思います。作詞も、他の人が歌うんだったら全然面白く書けるかなって思うし、個人的には男性の声とハモってみたいなっていうのをちょっと思っていて。いい機会があったらそういうのも面白いかなって思います。

——ミユキさんはいかがですか?

ミユキ:そうですね。1回、THE BACK HORNの山田(将司)さんとアコースティックで対バンをさせていただいた時に、自分たちの楽曲を歌ってくださって。その時に、なんかハルカじゃない人が歌うっていう感覚が衝撃で、それがすごく嬉しかったし、全然違う曲にもなるんだっていうのがすごくありました。楽曲提供っていうのは、たぶんアニメや映画用に書くのと感覚的には似てるのかなって思うんです。違うエッセンスで書くっていう感覚はすごく面白いしやりたいし、それをやってまた(ハルカトミユキに)戻って曲を作るってなったら、また新しいものができそうだなって思うので。お話があればぜひやりたいですね!

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Photo:櫻木ひとみ

自由を得たハルカトミユキの“これから”

——では最後に。ハルカトミユキのお2人にとっての音楽とは?

ハルカ:私、普通に生活していて「嫌だな」とか「どうしようもならないな、しんどいな」とか思うことがあった時に、「(私以外にも)そういう人がいっぱいいるんだ」っていうことが音楽を聴くとわかるなってことに最近気づいて。音楽を聴くと、共通言語じゃないけど、「あ、この曲があれば大丈夫だ」みたいな、「この曲がこうやって存在してるなら生きていける」みたいな、そういう感覚があるんですよね。だから、別にそれで励まされるとかじゃないんだけど、「これがある世界は大丈夫だな」って思えるというか、聴く立場でもそうだし作る立場としても音楽はそういうものであったらいいなあと思ってます。

ミユキ:私は自分のために音楽をやっているんですけど、それこそカート・コバーン(※NIRVANAのギターヴォーカル)が好きなのは「この人は嘘がない」って思えるからで。だからこそ、何か溜まった時はライヴで壊すし、怒鳴るんです。私はそこに憧れを持っているから、私も絶対に音楽に対して嘘はつきたくないなと思っていて。そういう意味では、音楽は自分にとって精神安定剤でもあるし、すごく……なくてはならないもの、って言いたくないんですけど、なくてはならないものです(笑)。

——悩まれたことや新たな挑戦もあった『17才』の制作をへて、これからのハルカトミユキに手応えを感じている部分もあるのではないでしょうか?

ハルカ:そうですね。結構わかりやすく、今までハルカトミユキを全然聴いたことなかった人たちが聴いてくれてるっていう感覚はあって。それは本当にアニメのおかげでもあるし、アニメがあったから「17才」ができて、この曲自体が持ってるパワーもやっぱりすごくあったんだな、と。だから、もちろん今まで通りの軸もありつつ、「17才」を中心とした曲もまたできるだろうし、違う人たちがまた入ってきやすいようなサウンドとかもできるんじゃないかなと思ってます。

ミユキ:ライヴツアーが今まさに2本終わったんですけど(※取材は昨年12月6日)、初めてアニメのタイアップをやったので、「これってアニメの曲なのかな?」っていうのもあるし、でも自分たちの曲としても書いたから「自分たちの曲なのかな?」って思うところもあって。でもツアーが始まってライヴで披露したときに、やっぱりアニメじゃなくてハルカトミユキの曲だっていうのをすごく思うようになって。今すごく自由になったなと感じるので、今まで全然やったことのない、自分の好きなものをどうやったらやれるのかなっていうのを日々考えていますね。

Text/Design:甲州美夕

PROFILE

ハルカトミユキ

どこまでも言葉にこだわる時代錯誤の文藝少女ハルカと、ノイズとジャンクで踊る愛すべきフリークス、ミユキ。大学で知り合った2人は、2012年11月、1st e.p.『虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。』でインディデビュー。2013年11月にメジャー移籍し、インディ時代の名曲も収録したフルアルバム『シアノタイプ』を完成。2017 年6月には、前作から僅か10ヶ月という短期間で3rd AL『溜息の断面図』をリリース。2018年には初のアニメ・タイアップ曲を収録したシングル『17才』のリリースに続き、昨年12月から今年にかけては全国ツアー・ライブを開催。そして今年5月8日に初のベスト盤のリリース、6月にはバンド編成でのツアーが決定!

OFFICIAL

http://harukatomiyuki.net/

RELEASE

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シングル 「17才」 [通常盤]

CD ¥1,200 AICL-3595


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