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INTERVIEW

2019/7/12

「”憧れ”から”等身大”の自分へ」井上苑子インタヴュー

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音楽活動に加え女優としても活躍の場を広げているシンガー・ソングライター、井上苑子。今年で作詞作曲や路上ライブを始めて10年になる彼女が5月に3rdフルアルバム『白と色イロ』をリリース。キラキラした恋愛ソングはもちろん、落ち着いた弾き語りの曲では大人な雰囲気を覗かせるなど、彼女の多彩な表情が詰まった一枚になっている。そんな彼女が今年の渋学祭にスペシャルゲストで出演! ステージを終えた直後の彼女に、アルバムの制作秘話を始め、夏の思い出から開催が控える「いのうえ夏祭り2019」やこれまでの活動について聞いてみた。

 

——今日のライヴは弾き語りのステージでしたが、歌声がとても綺麗で聴き入ってしまいました。

アットホームな感じで皆さんとの距離が近かったし、皆さんの歓声や、ちょっとだけ発したような声もすぐ自分に届いたので、すごく安心しました。私自身も楽しめました。

——お客さんのレスポンスも早かったように感じました。

そうですね。今日はああいう会場だったこともあって、多分お客さんも言いやすかったのかなと思います。

聴く人の数だけ“色”がある一枚に

——ありがとうございます。ところで、先日、3枚目となるフル・アルバム『白と色イロ』をリリースされました。今回はどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか?

12曲入っているんですけど、一曲一曲が違う色になってくれればいいなと思って作りました。

——タイトルは『白と色イロ』ですが、個人的にはピンクや黄色のイメージも感じられて、とてもカラフルなアルバムだなって印象を受けました。

それぞれ聴く人によって(思い浮かべる)色があると思うので、そこは自由に受け取ってもらえると嬉しいです。

——元気になれる曲もあれば、しっとりと聴かせる弾き語りの曲もあって、とても表情豊かなアルバムですよね。今回の曲作りや歌詞を書くうえで大切にしたことは何でしたか?

今まで――高校生の時は特になんですけど、「憧れている恋」というか「キラキラした恋愛」をしたいなと思っていて、そういう恋愛について歌うことが多かったんです。でも最近は恋愛以外でも応援ソングだったりとか、違うタイプの曲でも自分に寄り添った曲になっていってるなという実感があって。そこは自分が意識してそうしてるわけではなくて、自然と曲の作り方が変わってきてるなっていうのはあります。そういう今までとの違いがある作品になったんじゃないかなと思います。

——今回のアルバムの中で、井上さん自身の一番お気に入りはどの曲ですか?

曲を作ってる上で自分と一番近かったのは”くれたもの”かな。ちょっと落ち着き気味になっていた時に書いた(アルバムの)真ん中あたりの曲は、自分に寄り添っているかなと思います。

——”キミマミレ”の歌い始めの「粗大ゴミみたいに日付指定の恋ですか?」という歌詞がとても印象的でした。

この曲は元々ある”ふたり”っていう曲の派生版というか、その”ふたり”の中に出てくる人たちの話とちょっとだけリンクさせたいなと思って書いたんです。付き合ったふたりが段々と慣れてきて、けれどその慣れていく関係が寂しく感じた女の子が、ちょっと拗ねつつも「好きだよ」みたいな気持ちが伝わればいいな、という思いで書きました。

——私が一番好きな曲は”リメンバー”なんです。ロック調のメロディーだけどサビはキラキラしたイメージで、その対照的な感じが耳に残る曲ですよね。

そうですね。本当にその通りで、サビはすごくキャッチーでキラキラしたものにしたいなと思って、いつも一緒に作ってもらってる方と作らせてもらった曲なんです。けど、その人の味や色が加わることで、ああいう(ロック調の)メロディーになったところがあったんだと思います。歌詞については未練を持った女の子の気持ちで、ただ男の子にも共感してもらいたいなあと思って意識して書きました。

——今回のレコーディングで印象に残っていることはありますか?

最後の曲(”わっしょしょいしょい”)ですかね。合いの手のレコーディングが長すぎて、みんな(6人くらい)で小さいブースに入って一時間くらいずっと「ヘイ!」とか「アイラブユー!」とかやってたんです(笑)。みんなめっちゃ声がでかいので、空気とかが充満してる感じが途中から「あぁ、ちょっと大変だわこれは(笑)」ってなって。でも、そのおかげでかなり良いものに、分厚い曲になったなぁと思います。

——その最後の”わっしょしょいしょい”だけ雰囲気が違うなと感じたのですが(笑)、アルバムの曲順についてはどんなこだわりがありましたか?

今までのライブでは、”君がいればOK!~サマサマキュンキュン大作戦”っていう曲を一番最後で歌うっていうのが結構お決まりになっていて。その曲の第二章みたいなものを作りたいなってなった時に「あの曲の盛り上がりを超えたいな」と思って、その曲を作った人とまた一緒に(”わっしょしょいしょい”を)作ったんです。だから歌詞もリンクさせたりだとか、ライブの最後にやった時にみんなが燃焼しきれるように作りました。

夏より冬が好き⁉︎

——井上さんといえば”ナツコイ”という曲も有名ですが、「夏」のイメージが強くあります。夏フェスのシーズンも近づいてきましたが、自分が出演したり観客として見に行ったものも含めて、思い出に残っている夏のライブはありますか?

一番大きいフェスだと、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に何回か出させていただいて。「ロッキン」ってメロンを丸々使ったメロンソーダがあって、真ん中をくり抜いて実とソーダを入れて、その上にアイスクリームをのせて食べるんですけど、それがいつも食べちゃうくらい本当に最高で。どんどんメロンを削りながら食べて飲んで、本当に美味しくて(笑)、いつもそれが私のステージ後の至福ですね。

——この夏も楽しみですね!(※「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019」に出演が決定)

はい! あと、冬の「COUNTDOWN JAPAN」もすごいです(笑)。あそこはめちゃくちゃ楽しいです。早めに(自分のステージが)終わったんですけど、裏にビリヤード台があって、バンドのメンバーと朝4時くらいまでビリヤードしてて(笑)。それまでビリヤードってものをちゃんとしたことがなくて、一台しかないのに私たちがずっと占領してやり続けて、めちゃくちゃ楽しかった思い出があります。

——ステージ裏にそんなものがあるんですね(笑)。

いっぱいあるんですよ! マッサージしてもらえたりとか、ファミコンとか、多分自分たちが一番はしゃいでました(笑)。他の出演者さんは「あぁ、いつものね」みたいな感じなんですけど、私は出たことがあまりないので、出させてもらった時は速攻でマッサージを予約してゲームしてって、一番楽しんでます(笑)。

——そうだったんですね(笑)。

私、実は全然夏が好きじゃないんですよ(笑)。好きじゃないとか言うのもおかしいんですけど――多分、”ナツコイ”って曲をたくさんの人に聴いていただいたり、自分のデビュー曲(”大切な君へ”)も夏の曲で、PVが海のシーンだったりするので、「夏好きでしょ〜」ってすごく言われます(笑)。でも、私ってそもそも色黒っていうか地黒で、汗もかくし、女子のか弱さみたいなのがなくて、それが少し気になってて。だから夏はとにかく肌を見せずにしてます。汗かいちゃうから(笑)。

——冬の方が好きだったんですね。

そうですね、どっちかというと着込む方が得意です。

——ちなみに、夏になったら絶対にやることってありますか?

去年はずっとやりたかった川でのバーベキューができたので、今年も川に行きたいなと思ってます。川って山から繋がって流れてきてるから、海よりも冷たいんですよ。すごく冷たいから真夏に行くのがすごく好きで、気持ちよくて服とか着たまま入りますもん(笑)。あとスイカが食べたいですね。去年はあんまり食べれなかったので、フルーツいっぱい食べて、あと流しそうめんがしたいです。

“普通の青春”を大切に、真っ直ぐに走り続けた10年

——作詞作曲活動や路上ライブ活動を始められて今年で10年になります。振り返ってみていかがですか?

そうですね、本当に音楽しかしてなかったというか……もちろん普通の遊びもしましたし、私は完全なる普通人間だと思って生きてきたので、音楽をしすぎて今こうなってるわけではないんですけど。友達と遊ぶことがとっても好きで、学校が終わったらとりあえず仕事までプリクラ撮ったりカラオケ行ったりいろんなことして、それで解散みたいな感じの生活をしていたので。なので、友達との関係もすごく充実しつつ、10年間いろんなことを学ばせてもらったので、人として普通に生活してたら多分わからないことも知れたなと思っています。そこは本当にこの仕事のおかげだなと思っています。

——この10年間を通じて、井上さんの中で一番変わったこと、逆に変わらないことは何ですか。

変わったなと感じることは、自分が一人間として、誰と会うときも面白い人間でありたいなと思うようになったことです。多分、これは幼い頃からそういう気持ちがちょっとあったと思うんです、関西人なので(笑)。面白く思ってもらいたいみたいなことはあったんですけど、ただ、それを客観的に見たりすることはできなかったし、しようとも思わなかった。今だって自分を客観視することが完璧にできてるわけじゃないんですけど、ただ”(自分を)見る”ということを知れたというか、例えば「この発言をして誰がどうなるか?」とか、それを早く気づかせてもらえたところがあると思います――人間として当たり前のことなんですけど。この仕事に出会って、テレビに出させていただいて、何を喋るかとか、「これを喋ったら井上苑子はこういう人に思われるんだ」とか、ちょっとした一言でその人の”色”みたいなものが見えちゃうことが良くも悪くもあるので、そこはちゃんと考えていきたいっていうのはあります。

——なるほど。

変わらないことは、私は本当に我慢ができなくて……昔からその人が言ってることが間違ってると思ったら「間違ってる!」って言っちゃうし、どうしても人とぶつかってしまうことが多くて。「その人はそういう人だからほっておこう」っていうができなかったり、じゃあ「その人はみんなからそういう人だと思われちゃうけどいいの?」って思っちゃう自分がいて、友達みんなに呆れられてほっとけばいいじゃんって言われることにも100%注いじゃうんですよね。変わりたいんですけど変われないんですよね、(そのことで)痛い目を見てないからなのかもしれないですけど……。

——でも、そうした10年間でいろいろ悩んだり学んだりしたことが、今のご自身の曲に反映されているところもあるんじゃないでしょうか?

そうですね、人との向き合い方だとか、そこは自分を構成している部分がかなりあるので、歌詞の書き方や方向性にもそれは出ちゃってるんじゃないかなと。真っ直ぐにしか書けないから、オシャレな言い回しとかできなくて、そこは(歌詞に)出ちゃってるんじゃないかなあとは思いますね。

——井上さんは音楽以外にもドラマなど女優としても活躍されていますが、そうした演技経験が曲作りに影響したことはありますか?

いやぁ、演技って大変だなと。まだそんなにがっつりやらさせてもらうことも少ないので、その現場に入らせてもらって、いろんな役者さんを見たりさせていただくと、やっぱり自分の職業じゃない人の会話を見るって経験はなかなかないことなので、気持ちの作り方とか勉強させていただくことが多いです。曲の中ではすごくすんなりと気持ちが作れるんですけど、演技だと本番前の緊張を落ち着かせることができなくて、「もっと気持ちを入れて始められれば、もうちょっと行けたのになぁ……」って後悔することがあって。役者さんの中には、本番前まで全然違う話をしてたのに、いざ撮影が始まったらスッとその役に入りきる方とかたくさんいらっしゃって、もちろん慣れとかもあると思うんですけど、「さすがだなぁ……」って感じですね。集中力のコントロールの仕方だったり、自分にも活かせたらいいのになと思いました。

——音楽と演技ではかなり違うんですね。

そうですね。自分の歌は自分のものでしかないから、自分の言葉だしすごく楽なんですけど、もらった言葉でその役っぽく、自分ではないものを作ることができるのはやっぱりすごいなと思います。

——今後、新たに挑戦してみたいことはありますか?

お芝居も機会があればやりたいですし、でもやっぱり「面白い」と思ってもらえるポイントをもっともっと自分なりのやり方で探していかないとって思ってます。他の人を見て「かっこいい」とか「いいな」と思うことはいっぱいあるんですけど、でもそれが果たして自分に合っているのかと言われればそうじゃなかったりするので。それを自分らしさにするアレンジを考えたり、「面白い」と思ったものを自分らしくできる方法を探し続けて、ずっとずっと更新し続けていきたいなと思いますね。

——今回のアルバムではソロ・ヴァージョンが収録されていますが、Mrs.GREEN APPLEさんとコラボレーションした”点描の唄”はやられてみていかがでしたか?

そうですね、最初にまず私のパートも含めてデータで送っていただいたんですけど、その時はまだミセスさんとは軽くしかお会いしたことがない感じで。で、レコーディングスタジオに行って「初めまして」ってなったんですけど、最初はお互い緊張してしまって喋ることができなくて、大森(元貴、ボーカル&ギター)君も結構シャイな方だと皆さんがおっしゃるので、本当に目が合わなかったんですよ(笑)。「私、嫌われてるのかな?」って思って怖かったんですけど(笑)、いざガラス張りの部屋で2人でレコーディングを始めたら、それまで目も合わなかったことや喋らなかったこともなんとも思わなくなるくらいすっごく楽しくて、「あ、こういうのが”音楽が好き”ってことなのか!」と思って。もちろんライブの時はそう思えるんですけど、やっぱり1人で地道に作ってる時間って苦しいんですよね。「どうしよう!?」ってなることもいっぱいあるし、「自分、向いてないんじゃないかな……」って思うこともとってもありました。でも出来上がったその音楽を歌って、自分がいかに楽しくて気持ちよくなれるかってところが音楽の楽しさだと思うので、久しぶりにそういう風に思えた曲に参加させてもらえたことが嬉しかったです。

——今日のライブのMCではaikoさんの話もされていましたが、尊敬するシンガーソングライターの方はいますか?

もちろんaikoさんもそうだし、一緒にやらせてもらった方は「すごいな」と思う方ばっかりで素晴らしいなって思います。なかでも音楽界隈で仲良くさせてもらってるのが、同じ世代でいうとЯeaL(リアル)ってバンドがいて。この前ボーカルの子(Ryoko)とご飯を食べに行って音楽の話をいっぱいしたんですけど、彼女は関西出身でサバサバしてるし、そのくせ恋愛になるとめんどくさい女みたいなところもあって私とめっちゃ似てるんですけど、でも彼女の音楽を作る時の姿勢は本当にすごくて。私はいつも弾き語りで作ってるんですけど、私が想像する以上のことを彼女はしているんだろうなと思うと、もう本当に尊敬しかないです。

——7月末から「いのうえ夏祭り」が開催されます。新木場STUDIO COASTで行われる東京公演ではマカロニえんぴつさんと対バンされますが、共演するアーティストさんはどのようにして決めているんですか?

特にこだわりとかはないんですけど、本当に自分の好きなアーティストさんを呼ばせてもらっている感じです。私、バンドの方もソロ・シンガーのこともめちゃくちゃ好きなんです。大阪では、大阪出身で仲良しの友達の坂口亜美ちゃんって18歳の子がいて、その子すっごくいい音楽を作るので呼ばせていただいたら出ていただけることになりました。名古屋はコレサワさんに出ていただくんですけど、コレサワさんの音楽も大好きで。で、マカロニさんもそうなんですけど、やっぱり自分の好きなアーティストさんを呼ばせてもらおうってことで――これは本当に自分勝手だなという考え方なんですけど、自分が楽しんでたら誰かも一緒に楽しんでもらえるんじゃないか、共感してもらえるんじゃないかなって思っていて。そんな希望を抱いて私は楽しんでやろうと思っているので、ぜひ見てもらいたいです。

——ありがとうございます! では最後に、将来ミュージシャンを目指している本校の生徒に、業界の先輩としてメッセージをいただけますか?

自分が後悔しないくらいしっかりと音楽と向き合っていればきっといいことはあると思います。私は本当に運良く小5の時に拾ってもらって事務所というところに所属できたんですけど、そこに至るまでにはいろんな困難がある人がたくさんいると思うし、夢を掴むってことはすごく難しいかもしれないですけど、その夢を掴む途中に意味はあると思います。夢を掴むまでの道のりをいかに屈せず頑張れるかっていうことが大事だと思うので、そこに立ち向かっていければ絶対に何かがあるはずだし、素晴らしい未来が待っていると思います。

Text/Design:西原萌

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PROFILE

井上苑子(いのうえそのこ)

神戸出身の21歳シンガーソングライター。小6より作詞作曲と路上ライブを始め、高校入学と共に 上京。動画配信サービスのツイキャスで人気を集め、視聴者数が200万人を突破しメジャーデビュ ー。1stシングル「だいすき。」はYouTubeで2,000万再生を超え、女子中高生を中心にスマッシュヒット。これまでのミュージックビデオの総再生回数6,500万回を突破。LINE MUSICなどの定額 制音楽聞き放題サービスでは毎回の1位を獲得するなど、SNS新世代のアーティストならではのヒットを生み出している。5月29日はフルアルバム「白と色イロ」をリリース。また、歌手としてだけでなく 、映画・ドラマ・CMなどへもマルチに出演する次世代のシンガーソングライター。

OFFICIAL WEB SITE
www.inoue-sonoko.com/

REREASE
3rdフルアルバム『白と色イロ』
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初回限定盤(CD+DVD)4,212税込/ UPCH-29326

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通常盤(CD)3,240税込/ UPCH-20512


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