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INTERVIEW

2019/12/4

「日常をドラマチックに魅せる音楽」SHE IS SUMMERインタヴュー

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小さい頃からモノを作ることが大好きで、その延長で音楽を作り始めたというMICO。2015年にふぇのたすを解散後、MICOのソロプロジェクトとして始まったSHE IS SUMMERの音楽には、そんな彼女のパーソナルで遊び心にあふれた魅力が詰まっている。毎回様々なアーティストとコラボすることでも話題のSHE IS SUMMERだが、11月にリリースされた2年ぶりとなるオリジナルアルバム『WAVE MOTION』には、片寄明人(GREAT3)、TENDRE、高橋海(LUCKY TAPES)、Mikeneko Homelessなど多彩なゲストがプロデュースや作曲で参加。SHE IS SUMMERらしい歌謡感のあるメロディーを残しつつ、クールな曲調や音の“揺らぎ”が印象的な、これまでとは一味違う新たな表情を感じることができる一枚になっている。来年2月には「WAVE MOTION TOUR」の開催が決定。「最後は前向きな気持ちになる曲が書きたい」――そう語るMICOに、『WAVE MOTION』の制作秘話を始め、この10年間の音楽活動、そしてSHE IS SUMMERのこれからについて話を聞いた。

 

いつでも最後は前向きな気持ちへ

——今回のニュー・アルバム『WAVE MOTION』を聴かせていただいて、前作の『WATER』と比べて曲調や歌い方が落ち着いた印象の曲が多いように感じました。アルバムとしては2年ぶりのリリースになりますが、MICOさんにとってどのような作品になりましたか?

タイトルの『WAVE MOTION』は「波動」っていう意味なんですけど、去年出したミニアルバム『hair salon』からGREAT 3の片寄(明人)さんにプロデュースをしていただいた楽曲がいくつかあって。片寄さんとどういう曲を作っていくかとかいろいろ話している時に、自分の好きな音色とかムードとか音楽の話だけじゃなくて、よりもっとパーソナルな深い話をする中で、片寄さんが今までの私の作品から受けていた印象と実際に会った印象がいい意味で違って感じられたようで。それで、本当の私のパーソナルな部分がもうちょっと一聴して伝わるものを作ろうよっていう話になり片寄さんと作たのが、”CALL ME IN YOUR SUMMER”、”Darling Darling”、”Bloom in the city”という、3曲なんです。

——そうだったんですね。

歌のピッチとか隙がないくらいパキッと完成されているものよりも、感情の揺らぎが見えたり、ギターの音色もエフェクトがかかって波打ってる感じとか、ビジュアル的に言うと“水の波紋”のようなものがすごく好きだってことに気づいて。今までのSHE IS SUMMERの曲は曲単体として「その物語に入って聴く」みたいな要素がすごく多かったと思うんですけど、その要素も残しつつ、もう少しその場のムードを作るみたいな、生活している中でその曲をかけると背景になるみたいな、そういう曲を作りたいなと思ったのが今回の『WAVE MOTION』でした。

——日常の背景を感じられるようなイメージというのがコンセプトだったんですね。

そうですね。ドライブしてる時や、家でゆっくりしている時とかにかけると少し景色を彩れるようなサウンドが作れたらいいなと思って作りました。

——“CRY BABY”は聴いていると夜の景色が頭の中で再生されるようなメロディーだなと思いました。

そうですね。 “CRY BABY”は、このアルバムの制作に入る前に作っていた曲で。EP『MIRACLE FOOD』(2019年)をリリースした時に大阪は梅田Shangri-La、東京はLIQUIDROOMでライヴをやったんですけど、そのライヴで「一曲新曲をやりたいね」っていう話になって。サポートしてくれているバンドメンバーの及川創介 (Roomies)君と伊藤翔磨君と3人で一緒に家で遊んでる時に「ちょっと曲でも作ろうよ」みたいな感じで(笑)。“CRY BABY”っていうタイトルも、その時翔磨君が使っていたギターのエフェクターの名前が「CRY BABY」っていう名前で、「仮タイトル何にする?」ってなったときに、このエフェクターの音がいいから「“CRY BABY”にしよう!」ってなって。それでどういう意味か調べたら「泣き虫」っていう意味で、「じゃあ、それをテーマに歌詞も書こう!」ってなって(笑)。でも、そういう風に作った曲の方が実はパーソナルな部分が投影されていたり、普段考えていることが反映されるというか、だから逆に“らしく”なったのかなと思って。アルバムに収録しようと思って作った曲じゃなかったんですけど、あの曲が他の『WAVE MOTION』の曲の雰囲気を引っ張ってくれた感じがあるかもしれません。

——今作で一番好きな曲が“誰より僕ら、未来を探そう”なんですが、「僕ら眠って ご飯を食べて 忘れてしまうの」という歌詞に共感しました。

『WAVE MOTION』はクールな曲が多いアルバムになっているんですけど、これまでSHE IS SUMMERとして作ってきた、少し歌謡感のあるメロディーは残したいよねっていう。それで、何作も一緒に曲を作ってもらってる原田(evening cinema)君と今回も一曲新曲を作りましょうという話になって。原田君との楽曲制作はいつもスムーズで、彼には彼の色があるから「何をどう頼まなきゃ心配!」っていうことは全くなくて。原田君が今SHE IS SUMMERでやりたいこととか、こういうテンション感の曲がいいってことは少しだけ話して、それで曲が出来上がってきたんですけど、なぜか原田君の作る曲の歌詞はいつも1日とかでできるんですよ。実はこの歌詞を書いたのは1日もかかってなくて(笑)。深夜に寝れない日があって、「寝れないし、歌詞でも書こう」と思って、何も考えずに2、3時間くらいで書いた歌詞で。

——そうだったんですね(笑)。

SHE IS SUMMERのテーマとして、最後は前向きな気持ちになる曲が書きたいと思っているんです。それで今回のアルバムは、より力強く明るい方へ行こうというマインドを節々に入れていて。今の私のマインドがそうだったので。下を向いて落ちないようにするよりも上を見てここにとどまってる方が、同じ位置にいてもいい状態だと思うんです。そう思っていることを節々に入れたいなと思っていたので、こういう歌詞になったのかなって。

——「最後は前向きな気持ちになれるような」と話されましたが、“あれからの話だけど”や“とびきりのおしゃれして別れ話を”(『WATER』収録曲)も、失恋ソングだけど失恋に感じさせないような歌詞だなと思いました。

私も学生の頃はかなりネガティブ思考で、でもネガティブすぎてポジティブみたいな、逆張りの逆張りの逆張りみたいな、かなり考えすぎる性格だったんですよ。でも本当に物事って全部表裏一体で、ネガティブなことを考えてるのが逆にポジティブだったりするなって思っていて。ネガティブなことをちゃんと考えるポジティブさがあるというか、そういうことを考えるのがすごく好きで。心に生まれてしまう悲しい気持ちとかを、最初からないことにしようっていうのが私にはどうしてもできなくて、それがどうして生まれてしまったんだろうってこととかもちゃんと考えたいし、それを考えることが進むことに繋がるし、それをしない限りは進めないし納得いかないっていう性格なので。

——はい。

かといって、別にウジウジ言いたいわけでもないんですよ。でも、“とびきり”と“あれから”はSHE IS SUMMERとしての始まりの方の曲でもあったので、SHE IS SUMMERっていうアーティストはどういうものにするのがいいのか、どういうことをどういう人に伝えられるアーティストになりたいのかを結構考えましたね。狙って書いたっていうと言い方が悪いですけど、誰かに引っかかってもらえるように――やっぱり、最初は誰かに聴いてもらえないと意味がないなってすごく思ったから。面白い切り口だけど私の考えている哲学も少し入っているような、いいバランスの楽曲を作りたいなと思って狙って書いた感じですかね。

固定概念を疑え

——“とびきりのおしゃれして別れ話を”は、MVで踊っているMICOさんがとても印象的です。それもネガティブな気持ちにならないようにという思いが込められているのでしょうか?

そうですね。なんか「固定概念を覆したい、みんなに固定概念を疑ってほしい」っていうのは大きなテーマとしてSHE IS SUMMERの中にあって。私は小さい頃から母親に固定概念を疑えっていう教育をずっとされていたというか、「みんながやっているからやればいいってことじゃないんだよ」ってことをずっと言われ続けて育ったので、それは自分の中で大事な言葉になっていて。だからそういうことを誰かが気づいたりできるきっかけになれたら嬉しいなと思って。それで、SHE IS SUMMERの初期のMVは「現実ではあんまりやっちゃいけないことをビデオの中でやる」っていうテーマが実はあって(笑)。カフェで踊るとかオフィスで踊るとか、“あれから”だとバスタブの中で寝るとか、そういうのを入れてこうって。いつかやりたいのは、スーパーにあるカートでみんなで競争することなんですけど(笑)。そういう遊び心を忘れないアーティスト像にしたいっていう意図がありました。

——お母さんの影響も音楽に影響しているんですね。

そうですね。すごく入っていると思います。

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——今回のアルバムもそうですが、MICOさんの書く曲は日常のワンシーンを切り取ったものが多いように感じます。作詞をするときに意識していることはありますか?

曲によって意識していることが違ったりするんですけど、私は「日常」っていう言葉を不自然に感じることがあって。みんな日常って言葉を“ただの日常”っていう意味で使うことが多いのかなって感じていて、“日常化しちゃう”みたいな、ちょっとマイナスなイメージがあるじゃないですか。それがすごく嫌で。当たり前になっちゃうっていう感情に逆らいたい気持ちがすごく大きくて、だから日常的なことをドラマチックに歌うことによって、日常がつまらないものなんかじゃないんだってことに気づいて欲しいなって。あまりファンタジー過ぎる世界観は書かない、むしろ日常がファンタジーなんだっていうことを書きたいなと思っています。

——毎回、作品ごとに多彩なアーティストの方が参加されているのもSHE IS SUMMERの音楽の魅力だと思います。個性的なアーティストの方が多い中で、その都度大変なこともあると思いますが、何か心がけていることはありますか?

大変なことは、ディレクターがいろんな人と連絡をとならいといけないことくらいしか実はなくて(笑)。音の好みとかも、あんまり遠い人には頼んだことがないので、何かで知り合ったとか、誰かに紹介してもらったとか、自分が単純にファンだったとか、そういう尊敬している方たちと一緒に制作をしているので、あんまり気にすることはないですね。

——そうなんですね。

私が元々SHE IS SUMMERをやる前にやっていた「ふぇのたす」というバンドで、人にプロデュースされてみるっていう感覚をきっちり味わったからこそ、人に任せきるところと、自分がやるところを踏まえた上で、自分だけでは作れない膨らんだ世界を作ることを楽しめているんだと思います。それは知らない間に身につけたところかもしれません。

——“うしろめたいいい気持ち”(『Swimming in the Love E.P.』収録曲)の、「遊ぶ仲間が変わっていくたび 知らない自分になってく」という歌詞は、いろんなアーティストの方との共演を楽しむMICOさん自身の姿と重なるところもあるのかなと思いました。

あれは結構プライベートな歌詞で、でも、深読みするとそういう意味もあるかもしれないですね(笑)。

——共演するたびに知らない自分を発見していくっていう感覚はありますか?

それは逆かもしれない。共演して初めて知らない自分を知るんじゃなくて、私はもう知らない自分を知りたいという欲求を日常からたぶん人の何倍も抱えていて。そのためにすごく旅行するし、人に誘われたら行ったことがないところにも行くし、自分じゃ興味がなくて見ない映画でも誘われたら全然見に行く、みたいなことを日常的にしていて。そこで出会った新しいフィーリングの合う人と一緒に曲を作っている感じですね。

——なるほど。ほとんどの曲をMICOさんが作詞されている中で、Mikeneko Homelessさんが作曲した“夜に溶けないように”と”希望の街“では一緒に作詞もされていますね。

Mikenekoさんの曲の世界観が最初からすごく強くあって、具体的なシチュエーションのイメージもして曲を作ってくれたので、一回自分だけで書いてみたんですけど、その世界に入り込みきれない部分があったりして。これはどういうシチュエーションを思い描いているのかとか、もう少しMikenekoさん側にコミットした方が楽曲としていい曲になるなと思ったので、これは共作になりました。

——逆に、先ほど話に出た“CRY BABY”ではMICOさんが作曲にも参加されています。

この曲は、実はメロディーは自分で全部作っていて。先に創ちゃん(及川創介)がリズムを打ち込んでくれて、そこに翔磨君がギターをのせてトラックを2人が作ってくれて、そこに私が雰囲気で歌った歌をのせました(笑)。

——“あれからの話だけど“のMVでは、ピンク、青、黄色と衣装が変わっていくのに合わせて、メイクの色や髪型も変わるのがとても可愛くて魅力的でした。衣装にも何かこだわりはありますか?

そうですね。初期の頃と今とだと、衣装に対してこだわっている場所が結構違くて。最初のガーリーな印象の時は同世代の女の子に共感してもらえる歌詞を歌いたいなと思っていたので、SHE IS SUMMERのMICOとして、「こういうのがガーリー」みたいなものを追求するっていうのをどの作品でもやっていました。でも2年前にFUJI ROCK FESTIVALに行ったのがきっかけで、『WATER』くらいからはもっと服装で一曲一曲を表現するのはどうか?みたいな思いがあって。なので、「この曲の世界観を表現できるのはどういう服装なのか?」ってところの意識は結構変わってきている感じはありますね。

——CDジャケットも雑誌の表紙みたいでオシャレだなと感じました。ジャケットはいつもどのように作られているんですか?

私、グラフィックとかミュージックビデオを見るのがすごく好きなんですよ。なので暇があればいつも見ているんですけど、アートディレクションも同じくらい好きで。写真一枚でいろんな世界を表現できるっていうのがすごく楽しいことだなと思うし、私にとって写真を撮ることってすごく夢があるんですよね。(アートワークは)「れもんらいふ」の永瀬由衣ちゃんとずっと一緒に作っていて、その子は私が音楽始める前くらいにたまたま出会った子なんです。私と好きなもののルーツとかが一緒で、だからその子と相談して「じゃあ次はどういう自分を見せたいのか?」っていうのを先に話して作っていくことが多いですね。

——なるほど。

その一枚で、自分がどういう人なのかを想像されると思うんです。じゃあ、どういう表情を見せたいのか――人間なんだからいろんな表情があるに決まっているけど、その中から「この作品ではどこを見せたいのか」っていうのを一番最初に決めて作っていることが多いです。

髪型で変わる世界の見え方

——以前はふぇのたすとしてバンドをやられていて、今はソロとしても活動をされていますが、MICOさんの音楽のルーツとなるとどういったアーティストになるのでしょうか?

それが難しいんですよね(笑)。「この人をちっちゃい頃に聴いて歌手になることを目指したんです!」って人もいるけど、私にはそういうアーティストがいなくて、むしろモノを作ることがとにかく昔から好きだったんですよ。でも、音楽は結構自分から遠いところにずっとあって。小学生の時とかほとんど音楽を聴いていなくて、「あやや好き!」とかはあったんですけど、あややが好きなだけであややの音楽がすごく好きだったかって聞かれるとそうじゃなくて。とにかく“桃色片思い”のミュージックビデオがすごく好きだったんですよね。そう考えるとやっぱりミュージックビデオが好きなんですよね。スペースシャワーTVが見れる家だったので、MVを見ていた記憶の方が多くて、曲はあんまり覚えてないけど、この人のどんなMVがあったかとかは覚えているみたいなことが結構多かったりして。だから、自分が歌い始めてやっと音楽を聴き始めたっていう感じなので、すごくいろんな物から影響を受けていて、この人だけがルーツっていうのがあまりないですね。

——「歌いたい」と思ったきっかけはありますか?

それもあまりなくて。「モノが作りたい」っていう感覚の方が大きかったですね。高校生の時に引きこもりがちで暇だったので、とにかくいろいろ作ってみようと思って。ちっちゃい頃からワクワクさん(NHK教育テレビ「つくってあそぼ」)が大好きだったんですよ。だから絵を描くとかモノを作るとか、とにかくゼロイチで始めることがすごく好きで。でも絵とかそんなに上手じゃなかったので、ある時歌詞を書いたんですけど、当時は自分で歌うしかなかったのでそれで歌ったのがきっかけでしたね。

——その時の音源をオーディションに送ったんですね。

そうですね。歌詞を書いた後に鼻歌でメロディーをつけて、それだけじゃ困るなと思ってちっちゃい鍵盤を買ってきて。コードっていう概念も知らないからド・ミ・ソとか白玉をジャーンって弾いたやつに歌をのせたものを無謀にもレコード会社に送って(笑)。でも、その時は無謀とか思っていないんですよね。暇だからやっているだけで、これでどうにかなってやろうとか、そういうことも考えずに送ったら通ったのがきっかけでこの世界に入って(笑)。最初は音楽を聴く習慣がないから、全然聴かずに作ったりとかしていましたね。

——それからデビューして10年が経ちますが、振り返ってみていかがですか?

すごく変化がありすぎて、もはや同じ人間ではないです(笑)。どの時の私とも同じ人間じゃないなという時期が多すぎて、この10年で私は5、6人の人間になりながら歩んできた感覚です(笑)。ここに全員並べて同じ質問しても全員が違うことを答えると思います(笑)。

——特に思い出深い年はありますか?

ふぇのたすを始めて、初めてのCD(『2013ねん、なつ』)をリリースした2013年はすごく思い出深くて……それまでは結構暗かったし、尖ってたし、相当嫌な奴だったと思うんですよ(笑)。それを180°自分の振る舞いを変えてみたのがふぇのたすに入った時期で、髪型も変えて「みこ」って名前で活動して。

私、岡崎京子さんの漫画がすごく好きなんですけど、岡崎さんの漫画は“女の子の名前と髪型から話を作る”みたいな話を聞いたことがあって、それ面白いなと思って。女の子は名前と髪型でどういう性格か変わっちゃうのってあるなと思ったんですよ。だからたぶん、今私が私のままアメリカに住んで、ショートカットにして別のニックネームで生き始めたらそれに引っ張られて全然違う人間になれると思うんですけど、ふぇのたすの時はそういう感覚があったんですよね。ボブカットにして初めて全部ブリーチして金髪にして「みこちゃん」って人になると、周りの景色がものすごい速度で変わっていって。同じ東京に住んでいても“いる位置”によってこんなにも見えるものが違うんだっていうのが面白くて仕方なくて、それがすごい印象に残っています。

——やっぱり髪型は結構大事ですか?

大事な気がしますね(笑)。みんなたぶん私のイメージはボブカットだと思うんですけど、幼少期とかはずっとロングで胸下まであるくらいすごく長くて。でも、その時のいい思い出があんまりないんですよ。学生時代辛かった思い出の方が多いし、自分の中で髪を短めにするっていうのが運気アップみたいなジンクスが今までの人生の中であったんですけど、今はまたもう一度原点に戻りたくて伸ばしています(笑)。

——10年前の自分にアドバイスするとしたら何て言いますか?

んー……でも、そう思うと別に悪くはなかったかなっていう、「そのまま頑張りな」っていうかもしれないです(笑)。もう少し昔に戻れるなら何かあるかもしれないけど、17歳だとこのルートを歩むしかここまでこれる道もなかったような気もするから。「頑張りな」って感じですかね。

“新しくて強い音楽”を見据えて

——ネガティブになってもそれについてちゃんと考えるようにしているとおっしゃってましたが、ネガティブになりすぎて何もしたくないってことにはならなかったんですか?

ありましたよ!過去形だけど(笑)。最近はもうないけど、でも「何もしたくない」をやりきるポジティブってあると思うんですよ。そこに罪悪感を抱かずにやりきる。何もしたくないんだから、じゃあ今は何もしなくていい。それをやりきれることって結構大事な気がしています。何事も中途半端が一番良くないのかなと思っていて、どこかで罪悪感があるからズルズルしちゃうとか、そういうものがある気がしていて。振り切ることが私の中で大事なポイントになっています。

——先ほど「マインドが変わってきた」「前向きな姿勢でいたい」と話されていましたが、そう思うきっかけは何かあったんですか?

一番大きく感じたきっかけは、今年6月のLIQUIDROOMでワンマンライブをした時で。LIQUIDROOMは自分の好きなアーティストを観に行っていた会場だったんですよ。すごく好きなで、ずっと一番やりたかった会場だったので、私にとってはすごく大事な場所で。もっと大きいところでやれることも嬉しいけど、それとはまた違った意味でLIQUIDROOMにはすごく特別な意味があったんですよ。

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だから満杯になったLIOUIDROOMを見た時に、自分が誰かに歌ったことが発信されているっていうことが――もちろん今までもあったんですけど、より大きなものになって自分に響いてきて。2019年の時代にアルバムをリリースすることが、何千人かの人にLINEが送信されるみたいな感覚がすごく強まって。私、言霊をすごく信じていて、歌っていると実際にそうなってしまうということが結構あったりして。それこそ髪型と名前の話に通じると思うんですけど、そうしてるとそうなるみたいな、例えば表情の筋肉の使い方とか話す部分を変えるだけでも、塵も積もることのほうが人生を変えていくって信じているので。そういうポジティブなムードを届けられた方がいいなと、LIQUIDROOMに立って真剣に思ったことが一番大きなきっかけかもしれないですね。

——本当に特別な瞬間だったんですね。

それまでにもいろんな体験を通してそう思うことはあったりはしたんですけど、より明確になった日でした。その次の日からメキシコへ旅行に行ったんですけど、メキシコもまたそういうパワーを持った国だったんですよね。多分そういうポジティブなものに引き寄せられたんだろうなと思います。メキシコが太陽の恵みに溢れたすごくハートフルな国だったので(笑)。

——海外に行くと何かチャージできるものがあるんですね。

そうですね。すごく視野が広くなりますね。あとは戻ってきた時もすごく良くて。行ってる時に吸収できることももちろんいいけど、戻ってきた時に(それまで)気づけなかったことに気づける。今の日本の嫌なとこもわかるし、恵まれてるところもわかるようになることとかが、いろんな国に行く度にちょっとずつ増えていくんですよ。私はやっぱり、知らないことを知ることでしか何かが変わることってないと思うから、そういうことが変わってくのが人生にとって意味のあるものだなと思ってよく旅行をしますね。

——音楽専門インターネットラジオ「Backstage Cafe」でメインパーソナルティーの担当が決まるなど多方面で活躍されていますが、今後さらに挑戦したいことはありますか?

ここ一年くらいで、挑戦してみたいことにちょっとずつ足がかりがついて、いろいろと形にすることできてきたのかなと思っていて。エッセイを書くとか、お話をする場をもう少し長く設けるだとか、グッズのデザインを自分でするとか、そのチャレンジをする場を作れたなと思っているので、今後はそれをもっと伸ばしていきたいなと思っています。

——来年の2月には「WAVE MOTION TOUR」も控えています。今の心境や意気込みを教えてください。

今年に入ってから今のバンド・メンバーに定着したんですけど、かなり足並みが揃って演奏がさらにブラッシュアップできているなと思っていて。とにかく一回一回のライブが本当に良くなってきていて、ライブアレンジとかもいっぱいしてるので、それがよりみんなに伝わるようにしたいと思っています。

アルバム収録曲「海外2号線」は、世の中に存在する、クルマをモチーフとした楽曲をミュージックビデオ化するトヨタの新プロジェクト「feat.CARS」の第一弾に選出、MVが公開されている

——今後はどのような音楽をやっていきたいですか?

来年は(自分の音楽の世界を)ジャンルから広げるより、メッセージから広げる方がいいのかなと。サウンド感で聴いていくのって男の人の感覚だと思うんですよね。私は音楽業界に入っていろんな方からジャンルを掘る楽しさを教えていただいて、面白いと思ってやるようになったけど、でもそれが全てでもないなと思って。それよりもっと自由に、「こういう言葉だったからこういう色が思いついて、こういう音になった」みたいなことの方が、新しくて強い音楽が作れるような気がしていて。だから言葉の発信とか、視線とかで作ることもいいんじゃないのかなと思っています。逆に、今回のアルバムみたいにジャンル感で作ったからこそ聴いてくださったファンの方もいると思うから、いろんなことをやるのも大事だけど、来年は一回原点に立ち返ってみようかなと思っています。

——ありがとうございます。では最後に、音楽業界を目指しているTSM渋谷の生徒に、業界の先輩としてアドバイスをお願いします!

何か一つでも、他の人がやっていないことを見つけてやるっていうのが大事だなと思います。固定概念にとらわれない人が音楽業界に増えると私も楽しくなるので(笑)。

Text/Design:西原萌

PROFILE

vo.MICO

リアルなガールズマインドを歌う、”MICO”のソロプロジェクト”SHE IS SUMMER”
2016年8月に1st E.P「LOVELY FRUSTRATION E.P.」でデビュー。
リード曲「とびきりのおしゃれして別れ話を」が、YouTubeの再生回数が350万回を突破。ファッションアイコンとしても注目を集め、ユニクロ、CASIO等とコラボ・タイアップを行う。
2018年11月に公開された「CALL ME IN YOUR SUMMER」は、台湾、タイなどアジア各国から注目を集め、YouTube再生回数が260万回 を突破、アジア進出への足掛かりとなる。
11/27には、初のドラマ主題歌「Bloom in the city」を含む、2nd Album 「WAVE MOTION」をリリース。
2020年2月からワンマンライブ「WAVE MOTION TOUR」を開催!

OFFICIAL WEB SITE
http://she-is-summer.com/

LIVE INFORMATION
ワンマンライブ “WAVE MOTION TOUR”
12月11日よりHP先行受付スタート!

日程:2020年2月23日(日)
会場:大阪@Shangri-La
開場:16:30 開演:17:00

日程:2020年2月24日(月祝)
会場:愛知@APOLLO BASE
開場:16:30 開演:17:00

日程:2020年4月24日(金)
会場:東京@TSUTAYA O-EAST
開場:18:00 開演:19:00
Guest:東郷清丸

RELEASE
2nd ALBUM『WAVE MOTION』

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¥2,600(+税)/SCL-007


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