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LIVE REPORT

2013/9/15

『東京湾を飲み込んだロック・スピリッツ』MURO FES.(LEFT STAGE)ライブレポート

 

ジリジリと肌を焦がす太陽の光が、ここ東京晴海客船ターミナルに降り注いでいる。フェスの開始を今か今かと待ちわびるオーディエンスの期待感と相まって、早くもフィールドは沸点を越えているのであった。そんな中、号砲を鳴らしたのが、グットモーニングアメリカだ!  開始早々、たなしん(Ba.)がふんどし姿でステージにせり出して”ソイヤー!!”と叫びながらコール&レスポンスを巻き起こす。なんだ、この光景は…(笑)。早くもお祭り騒ぎの様相を呈しながら、「ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ」を腰を据えたグルーヴで響かせる。音を鳴らすことへの情熱を実直に、時には獰猛なまでに空間へ放って行く。4つ打ちの軽快なリズムに乗って、オーディエンスが無邪気に踊っているのが印象的だ。熱狂的な空間を煽るようにして、たなしんは”みんな今日は熱いから倒れるなよー! 今日一日を楽しむのに大切なのは愛しさと切なさと心強さだー!”と熱っぽく語りかける。こういうフレンドリーな親近感がグッドモーニングアメリカの魅力のひとつである。印象的なギターディレイが広大な東京湾に響いて行く「バンバンガンガン」や、刹那的な青臭いメロディが壮大なシンガロングを誘う「未来のスパイラル」など、最新アルバムからの楽曲も披露され、オーディエンスは胸をいっぱいにして拳を突き上げて行く。”こんな早い時間から集まってくれてありがとう!  僕たちグッドモーニングアメリカはインディーズ時代から渋谷O-Crestにお世話になっていて。今の僕たちがあるのはO-Crestのおかげです”と渡邊(Gt.)は、このイベントを主催している渋谷O-crestに感謝を述べるのであった。ラストは性急なギターリフとエモーショナルなフレーズが絡み合うキラー・チューン「キャッチアンドリリース」をプレイ。狂騒の宴に油をそそぐような締め括りで、最高なパーティタイムの幕開けとなった。

 

このイベントは全国津々浦々のライブハウスを熱狂に巻き込んで来た屈指のライブバンドによって作られる空間である。次に登場したSAY MY NAMEは、サウンドチェックの時点から轟音のパンク・サウンドを鳴らして”俺たちがSAY MY NAMEだー!  全力でかかってこい!”と叫びながら、ライブキッズ達を迎え撃っている。レスポールのギターが熱く唸りだすメロディと2ビートの応酬は、まさに正統派メロコア・バンドの迫力に満ちている。矢継ぎ早に繰り出す高速ビートのサウンドが、ライブキッズ達のハートをがっちり掴んで行った。

 

熱く照りつける太陽はかげる事を知らず、どんどん会場は熱の渦に満ちて行く。そんなタイミングで登場したのがDirty Old Menである。無論、一時の休憩タイムになるはずもなく、会場のテンションを持続したまま、エクストリームな音像で会場を炙り出して行く。スカダンス、モッシュ、ダイブなど、我慢しきれないオーディエンスは狂ったように身を投げ出して行く。”みんなもっと狂えー!”とフロントマンの高津戸(Vo/Gt.)は、これでもかと煽って行く。その根底に流れるのは”この一瞬を全力で楽しめ”というメッセージだ。壮大なシンガロングとハンドクラップを巻き起こし、まさに会場が一体となった祝祭感に包まれた。

 

LEFT STAGEのアクトも後半戦に突入。この時間になると海風が涼しく感じれる中、夏の夕空に相応しい情緒的な「夏の匂い」を弾き語りする小高(Vo/Gt.)。観客は目をきらめかせながら聴き入っていている。そんなしっとりとした雰囲気からLUNKHEADのライブは始まったのだが、今までのセンチメンタルな気分から一転して、ダンサブルな「シンドローム」をプレイする。当然、会場は狂乱のダンス・パーティに様変わりする。和風テイストなイントロ・ギターが印象的な「闇を暴け」では、無骨で男臭いロックンロールでさらに会場をかき回す。ノスタルジックなコード進行と和製エモが中和した、オリエンタルなメロディはひたすらキャッチーで美しい。それを情感たっぷりに歌声で表現し、独自の世界観をライブの中で構築して行くのがLUNKHEADの魅力ではないだろうか。ライブ中何度も小高は”生きてるかー!”と叫んでいた。生と死、光と闇のパラレル・ワールドを描いて来たLUNKHEADが、オーディエンスに”生”を問いかけることは必然であった。最後に演奏されたのはオーディエンスとの密な一体感を生み出す「カナリアボックス」だ。”あなたに会えてよかった”というフレーズが、鋭利でダイナミックなギター・ロックにのって響き渡って行く。渾身のメッセージ・ソングを身を乗り出しながら絶唱する小高は、凄絶な気迫に溢れていた。そんな真摯で無類のロックンロールを、全力で受け止めようとするオーディエンスとの共闘関係が固く結ばれた瞬間であった。

 

が、そんな熱い空間を遮るようにして断続的に雨が降り、イベントは何度も中断に追い込まれた。取材班も屋根に身を隠しながら必死にノートにメモするも、残念ながらここでライブレポートを断念…。後味の悪い取材となってしまったが、そのあとライブは大幅に時間がズレながらも無事にヘッドライナーのアルカラまで繋がり、フェスは大団円に終わった。運営側の勇気ある判断と、オーディエンス達の熱い盛り上がりが、このイベントを成功に導いたのは言うまでもないだろう。

 

取材・文/宮川


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