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LIVE REPORT

2017/1/17

『髭男流ポップスが導き出す幸せへの方程式』Official髭男dism ライヴリポート

Official髭男dism one-man tour 2016 at 代官山LOOP on 2016.11.26

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会場の代官山LOOPは、若者はもちろん、会社員から親子連れまで様々な人で埋め尽くされていた。そして開演時間を10分ほど過ぎた頃、場内は暗くなり、軽快なBGMにのせて笑顔溢れる4人が登場。1曲目は、1stアルバム『ラブとピースは君の中』のリード曲「恋の前ならえ」。観客も拍手や手を振って応え、会場は温かい空気に包まれた。

終始、表情豊かにグルーヴィーなベースを鳴らす楢崎誠。盛り上げ上手なギター、小笹大輔。朴訥とした雰囲気のドラム、松浦匡希。そしてフロントマンを務めるのは、朗らかでどこか憎めない雰囲気のキーボード&ヴォーカル、藤原聡。4者4様の個性が集まって、髭男にしかできない世界観がライヴ序盤にして出来上がっていた。

郷愁感溢れる切ないバラード「ゼロのままでいられたら」や、ジャジーでモダンなサウンドの「ニットの帽子」からは、明るいポップスだけではなくしっとりとした落ち着いたサウンドも作れる、音楽家としての表現の幅の広さが感じられた。とくに「ニットの帽子」では、楢崎がアップライトベースに持ちかえて演奏し、一瞬にしてライヴハウスをジャズ・バーのような空間へ変えてしまった。素晴らしいソングライティングとアレンジセンスに、ただただ脱帽。

その後、「アットホームな環境で聴いてもらいたい」というメンバーの意向で、それぞれ生楽器に持ち替えて横一列に並ぶアコースティック・スタイルへ。「夕暮れ沿い」を4人の美しいハーモニーで聴かせたあと、各パートのメンバーが一節ずつ歌声を披露。歌声からはそれぞれの個性が滲み出ていて、より一層の親近感が湧いた。「このスタイルだとお客さんの手拍子がよく聞こえて嬉しい」と藤原が語ったように、お客さんも4人に混じって演奏しているかのような一体感が、髭男のパフォーマンスに華を添えていた。さらに途中、MCの流れでピコ太郎の「PPAP」を即興で披露するなど、サービス精神も満点。その対応力の高さと柔軟性でお客さんとの距離を瞬く間に縮めてしまうのも、人気の秘訣だろう。

お客さんからのリクエストコーナーでは、幼い女の子のリクエストで「parade」を披露。まさに、髭男の音楽が老若男女に愛されてる証だ。髭男はまだまだ楽しませてくれる。「Happy Birthday To You」では、マイケル・ジャクソンの名曲「Man In The Mirror」の一節を楽曲に織り交ぜて披露。髭男のルーツを垣間見ることができた。

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会場が温まりきったところで、藤原が「武道館を通過点にして、東京ドームまで行くよ!」と意気込むと、たくさんの拍手が飛び交った。この勢いならその実現もそう遠くはないはずだ。

続いて披露されたのは、新曲の「What’s Going On?」。「歌詞には重たいメッセージを込めたけれど、人の心に寄り添えるような曲にしたいと思って作りました。だから、この曲はみんなに笑って聴いて欲しい」。とのMC通り、歌詞は“ああ神様 どうして 生きていく事は こんなに辛い事なんだろう?”とメッセージ性は強めだが、壮大なサウンドと親近感の湧くメロディによって、恩着せがましくなく、そっと背中を押してくれる楽曲だ。

ライヴは終盤にさしかかる。「まだまだ楽しんでいきましょう!」と、”キスしてるみたいに手紙を書こう”というサビが印象的な「日曜日のラブレター」を披露。懐かしさを感じるロマンティックな楽曲で、会場は幸せな空気で充満していた。そして「最後2曲、盛り上がっていけますか〜!」と、1st『ラブとピースは君の中』と2nd『MAN IN THE MIRROR』の1曲目を飾る、「SWEET TWEET」、「Clap Clap」を連続で披露。イントロから盛り上がるこの2曲に、観客は大興奮。会場は幸せな熱気に包まれたまま、本編が終了。

その後、稀代のR&Bシンガー、マーヴィン・ゲイの名曲「What’s Going On」のカバーを披露。 途中、自身の楽曲で同名曲の「What’s Going On?」の一節を織り交ぜて歌っていた。彼らのブラック・ミュージックに根差した音楽見識の高さを感じたと同時に、昔の音楽がこうして若い世代にも受け継がれていく瞬間を目撃した気分だった。あの瞬間は、音楽が時代もキャリアも人種さえも超えて、1つに繋がっていた。また、ベースの楢崎はこの曲でサックスを演奏。しっとりとムーディーな空間を演出したメンバーの才気溢れるステージングと、その引き出しの多さには驚くばかりだ。

ラストは飛び切り明るい楽曲の「黄色い車」。“行ってきます”という出だしで始まる曲を最後の最後に持ってくるあたり、憎いくらいよく出来た構成。そして、”きっとこれから楽しい事たくさんあるよ”と藤原に歌われると、何の根拠もないのに、そんな気がして明るい気持ちになれるから不思議だ。すべては、髭男の親しみやすいポップサウンドと、藤原の癒される歌声から来るものなのか。はたまた、髭男のメンバーの人柄が滲み出ているからなのか。

4人がステージを後にしてからも残る、ただならぬ余韻と多幸感。彼らは、このライヴで確実に何かを残していた。その何かは野暮な言葉で表すより、終演後、感動のあまり泣いている観客が全てを物語っていた。

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☆SETLIST
1. 恋の前ならえ
2. 愛なんだが・・・
3. 異端なスター
4. コーヒーとシロップ
5. 未完成なままで
6. ゼロのままでいられたら
7. ニットの帽子
8. ダーリン。
9. 夕暮れ沿い(Short ver.)
10. Happy Birthday To You
11. What’s Going On?
12. 日曜日のラブレター
13. SWEET TWEET
14. Clap Clap
〜Encore〜
15. What’s Going On? (Mash-up ver.)
16. 黄色い車

Text:室井 健吾
Photo:Sayaka SAPP Hori

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http://higedan.com/


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