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2015/10/7

LIQUID ROOM 11th ANNIVERSARY『Polaris × downy × The fin.』ライヴリポート

みなさん、ご機嫌いかがですか。
すっかり秋になっているのに、お腹を出して寝ていたらお腹を壊した室井です。

みなさんも気温の変化にはお気をつけください。

今回は先日行ったライヴのリポートをしようと思います。
少々長いですがお付き合いください。

LIQUID ROOM 11th ANNIVERSARY『Polaris × downy × The fin.』ライヴリポート

2015年9月10日、台風が日本を直撃し、ニュースでは悲惨な状況が伝えられている中、後ろ髪をひかれる思いで、私は会場のある恵比寿に向かった。幸い東京での台風のピークは過ぎており、雨がパラパラと降る程度だった。

当日の私の一番のお目当ては、4人組インディーロックバンド、The fin.。彼らのアルバムが大好きでよく聴いていたので、初めて生で観られることに胸は高鳴った。

19時ぴったりにゆっくりと会場が暗転し、The fin.のメンバーが登場。温かな拍手に包まれたあと、「Illumination」のイントロが始まり、キーボードのメロディが会場全体に広がる。そこにヴォーカルYuto Uchinoの声が重なり、フロアを包み込む。数曲連続して歌った後、MCでUchinoが「僕たちはいろんなところでライヴをやっていて。この間は中国でやって、東京はすごく久しぶりなんだけど。なんやろ、東京の人はシャイやね」と言って笑いを誘った。「場所によって全然お客さんの反応が違くて。もっと酒飲みながら軽い感じで聴いてるところもあるし」。続けて「ちょっとみんなでショット決めてくる? 裏にバーカンあるんでしょ?」と突然言いだし、笑わせた。
 そして「新曲やります」と伝えた後、新曲を披露。その後も彼らの1stアルバム『Days with Uncertainly』の収録曲を中心にしたセットリストが続く。特徴的だったのは、その最後。演奏が終わった順に、ベースのTakayasu Taguchi、ドラムのKaoru Nakazawa、ギターのRyosuke Odagakiと一人ずつステージからはけていく。最後にヴォーカルのUchinoが「ありがとう」と言い、それぞれの楽器の残響を残したままライヴは終わった。まるで1つのショウを観ていたかのような余韻に浸ることができた。

続いてdowny。メンバーの1人に映像担当がいる5人組ポストロックバンド。ステージの後ろに映像を光で照らし出して、それが曲に合わせて目まぐるしく変化する。曲も変拍子を多用した楽曲が殆どで、不安を煽るメロディとサウンドが映像とリンクしていて、圧巻のステージだった。特徴的だったのは、それぞれのメンバーの立ち位置。ギターの青木裕は、センターで椅子に座りながら長い髪は振り乱しながら、一心不乱にギターを弾いていたのが印象的だった。終始横を向いて演奏をし、時にはオーディエンスに背を向けて、バックに流れる映像を見ながら演奏をしている姿が独特で新鮮だった。続いてステージ向かって右手には、ヴォーカルの青木ロビンがキーボードとギターを駆使して歌っていた。インド人とのハーフでもある彼は、日本人離れした発音の英語と声質で会場を包み込む。まるで海外のアーティストが出るフェスを見ているような錯覚に陥った。左端にはベースの仲俣和宏がメンバー全員を見渡して支えるかのように安定した演奏をしていた。極めつけはドラムの秋山隆彦。表情を見ると何食わぬ顔して演奏していたのだが、やっていることは素人の私から見ても、高度でえげつないプレイだった。そんな変拍子で溢れる曲のイメージを、映像として巧みに表現するdownyのパフォーマンスは、単にライヴを見ているというよりは、ひとつの芸術作品を味わっているような感覚にさせた。MCは終盤に青木ロビンが言った「downyです。恵比寿LIQUID ROOM11周年おめでとうございます」と、去り際の「ありがとう」のみ。ひたすら音楽と映像であった。その容赦なく爆音で迫ってくるステージに、私は呑み込まれそうになった。

最後はPolaris。今年で結成15周年を迎えた2人組のロックバンド。ギター/ヴォーカルのオオヤユウスケと、フィッシュマンズのベーシスト、柏原譲によるベテラン2人による落ち着いた音楽が会場に響き渡った。サポートメンバーも非常に豪華で、キーボードをはじめ、メロディオンや効果音などを担当していたのは、クラムボンのベーシストであるミト。時折オーディエンスに拍手を煽っていたり、積極的に会話に入り込もうとする姿勢が印象的だった。「お足元の悪い中ありがとうございます」などMC中の穏やかそうな口調とは打って変わって、楽器を演奏する表情は真剣そのもので引き込まれた。ドラムには、くるりやSalyu、清春などのサポートドラマーとしても活躍するあらきゆうこが安定感抜群の演奏を見せていた。
会場全体に溢れる幻想的な光の演出の中から紡ぎ出される、オーガニックで、無駄なものをそぎ落としたような楽曲が癒しを与えてくれる。ノリの良い曲の演奏中も、パフォーマンスに大人の余裕のようなゆとりが感じられたので、聴いていて非常に心地良かった。そして心臓にずんずんと響くベースの音。ギター/ヴォーカルのオオヤは終盤のMCで「ベースの音が凄く大きくて、最初の方は自分で何を歌っているのか聴こえなかった(笑)」と言って笑わせた。終始静かな雰囲気のステージだったが、その中にある芯の強さを感じたライヴであった。

以上です。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
正直、The fin.以外は知らないアーティストだったのだが、新たな出会いができて非常に新鮮で中身の濃い夜だった。
終演後の物販ブースにThe fin.のメンバーがいらっしゃったので、厚かましくもCDにサインを書いていただき私のテンションは最高潮に。心地よい疲労感に包まれながら帰路につき、サインしてもらったCDを眺めて1人でにやけていたのはここだけの話。

liquid


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