M-BUG take free

音楽フリーペーパー「M-Bug」オフィシャルサイト


SPECIAL

2013/8/29

密着取材シリーズ『プロフェッショナル〜照明の流儀〜』

7/24渋谷O-Eastにて行われた「POWERFULL ENEAGEY FEVER」。このイベントはTSM渋谷の学生が主体となって作り上げるライブです。イベント制作に関わる様々な分野で、日頃勉強を積み重ねてきた学生達が一堂に会して、実力を試せる絶好の機会です。そこで今回はライブ演出には欠かせない「照明」のお仕事に密着。どんな風にして、どんなやり取りで照明が作られているのか、その一日を追いました!!

 

「照明」。ライブ/コンサートを作る上では欠かせない仕事の1つです。色鮮やかな照明が織り成すステージの演出は、思わず見とれてしまいます。何より曲のモチーフによって照明が変わって行くのが見所。静かでノスタルジックなナンバーでは、スカイブルーのライトが穏やかにステージを照らして行き、逆にアグレッシブで激しいナンバーでは、レッドやイエローなどの攻撃的な色を用いてステージを盛り立てます。また、ここぞという時にお客さんを煽る際にはストロボライトというのが登場します。最高潮に盛り上がっていく局面でカメラのフラッシュのような白光を高速で点滅させて、眩いライトが強烈な印象と余韻を作り出します。お客さんに最高のエンターテイメントを届けるために、舞台照明は大事な役割を担っています。
IMG_1773

 

朝早くから渋谷O-East前にはたくさんのスタッフが集まっていました。皆、黒色のTシャツを着込んでいます。リーダーの奥富さんの指示の元、今日のスケジュールなどを入念に確認しています。やがて仕込み開始時間となり、講師の先生が「1時間以内に作業を終わらせなさい」と制限時間を出します。照明班が慌ただしく動いて行きます。

ここから工程の説明をすると、まずは灯体(ライト)の位置を変える作業に取り掛かります。この灯体はトラスという鉄骨に吊るされています。よくテレビスタジオなどの天井にぶらさがってる鋼鉄の骨組みのことです。そのトラスを一旦ステージ上に降ろして、吊るしてある灯体の位置を変えます。元の状態のままだと、意図したステージ演出が決まらないので、今回のライブ仕様に配置し直して行きます。

IMG_1784

灯体の位置を直して行くスタッフ達

 

その間、別のスタッフはゼラの差し込みという作業を行っています。プラスチック製のゼラというのをライトに付けることで、色鮮やかなカラーに発光することができます。

IMG_1786

ゼラを灯体の先端に付けるスタッフ

 

次にシュートに向けてそれぞれのセクションに分かれて作業を行います。このシュートという作業の目的は主に2つがあります。1つ目はライトがしっかり演者に当たるようにすること。2つ目はステージを彩る演出としてビーム(光線)を決めることです。前者は実際にスタッフがバミリ(演者の立ち位置)に立って光を当て、後者はステージ全体の演出をイメージしながらシュートします。客席後方では照明卓(ひとつひとつのライトのオン/オフや光の強さを調節するミキサーのようなもの)があり、そこでボリュームのつまみを動かしながら灯体がしっかり点くかを確認しています。

IMG_1806

照明が正常に点くかをチェック

 

舞台上では介錯棒というのを持ったスタッフが作業しています。これはトラスを空中に上げた状態で、ライトの向きを調整する作業です。天井まで届く棒ですからずっしりと重そうで、手が滑ると介錯棒を床上に落としかねません。危険が伴う中で灯体を調節するわけですから、かなりの精度と体力が求められます。そして照明班のリーダーである奥富さんは、客席中央に立って「首上げ」「下手」と言いながら灯体の傾きを指示しています。ビームを見やすくするためにスモーク(煙)を焚いて、全体の照明を確認したらあらかたの下準備は終了。あとは本番の工程を残すのみです。

IMG_1816

空中にある灯体を介錯棒で調整

 

いよいよ本番が迫る中、リハーサル時のピンスポットの現場にお邪魔しました。このピンスポットは、アーティストを手動でライトを当てる装置です。とりわけ正確な手さばきと高い集中力が求められます。曲目によってピンスポットのカラーを変えたりと、カット割りが書かれた台本を見ながら作業をするので、大変忙しいです。でもアーティストの動きに合わせて、直接自分の手で光を照らすわけですから、大いにやりがいのある作業とピンスポット班のチーフはおっしゃていました。

IMG_1844

演奏中のアーティストをピンスポットで照らす

 

本番中にも照明班はヘッドセットを着けながら、常に情報を共有し合っています。ピンスポット班のチーフがライトを当てる範囲の大小を指示したり、客席後方にいる照明スタッフと次の曲の確認をしたりと全体と連携して工程を進めて行きます。まさにチームプレーと言うべき作業の連続で、お互いが信頼していていないと冷静沈着に舞台照明は行えません。プレッシャーに曝される中で、それでも照明の美しさに魅入られたスタッフ達は、高い志と向上心を持ちながら仕事に勤しんでいることを実感しました。

IMG_1811

改善点や注意点などを話し合うスタッフ達

 

取材・文/宮川


記事一覧

PAGE TOP