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SPECIAL

2013/9/3

密着取材シリーズ『プロフェッショナル〜PAの真実に迫る〜』

 

音量がバラバラのひとつひとつの楽器の音をミキサー卓でミックスして“アンサンブル”としてオーディエンスに聴かせる大事な役割、PA(Public Address)。ギターソロやベースソロなどそれぞれのパートの見せ場ではその楽器のボリュームを上げたり、余韻を残したい曲では深くエコーをかけたり、知識と技術、センスでライヴコンサートを盛り上げるお仕事です。今回はTSMの学生が企画したイベント“POWERFUL ENERGY FEVER!!”@渋谷O-EASTの裏側に潜入! PAの仕事に密着してきました。

 

私は今まで会場の後ろでお客さんが聴く音を作る“ハウス”だけがPAの仕事だけだと思っていたのですが、他にも舞台袖で演者さんが聴く音を作る“モニター”、マイクのセッティングなどステージ上の仕事をする“袖付き”の3つに分かれていることにまず驚きました。

 

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モニター用のミキサー卓

 

朝の9時、“どこよりもアツい夏を作る!!”という気合いの下、スタッフの学生たちが緊張の面持ちで会場に集まってきました。機材搬入が終わると照明や舞台監督の手によってまずステージが組まれていき、いよいよPAの出番。セッティング図を見ながら必要な本数のマイクをスタンドに立て、それを“マルチ”というボックスに繋いでいく。ここで繋ぐ場所を間違えてしまったりすると、音が出なかったり、違うチャンネルから音が出てしまったり、地味な作業ではあるがとても大事な役割を果たしています。

 

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マイクケーブルをマルチに繋ぐ

 

ステージの環境が整い、いよいよ音出しがスタート。楽器一つ一つについているマイクをチェックするのですが、初めは信号がミキサー卓まで届くか確認するだけなので、マイクの頭をこするだけ。それが終わったら今度は音作り。ここでおなじみの「チェックワンツー」が登場するのです。今までこの言葉が何で使われているのわからなかったんですけど、調べてみるとちゃんとした意味がありました。音というのは空気の振動で、これを数値で表すと、“チ”は5kHz近辺の高い音、“ワン”は800Hz近辺の中域、“トゥー”は240Hz〜160Hz以下の低音で、この3つの言葉がスピーカーからまんべんなく聞こえたらOKということなのです。

 

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モニターチーム
演者からのリクエストに迅速に応えていく

 

そしてリハーサルが始まりました。出演バンドが本番さながらに演奏する中で音を調整していくのですが、ここがポイント。アーティストからの「返し(※ステージ上の演者に向けて出す音)をもう少し大きくして下さい」といったリクエストにスタッフは瞬時に対応していきます。最高のステージを作り上げるため、そしてバンドさんが気持ちよく演奏出来るように、緊張感漂う中リハーサルは進んでいったのでした。

 

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曲の雰囲気や演者の動きを見ながら
全体のバランスを調整するハウスチーム

 

朝から一生懸命取り組んだ準備やリハーサルを終え、ついに本番を迎えた。すると、あろうことか出だしから司会の人のマイクが出ないというハプニングが発生してしまったのである!! しかしスタッフが一丸となり、なんとかカバーすることが出来た。失敗、そして焦りの中でどれだけ冷静でいられるか。この経験が将来に少しでも繋がっていくのだろうと感じた瞬間だった。

 

朝からPAに密着していたこともあって、今まで以上に楽器の音やボーカルの歌声がすっと身体に入ってくるように感じ、また新しいライヴの楽しみ方を知ることが出来てとても新鮮でした。

 

どんなライヴもあの楽しくて笑顔になれる空間を作るまでには、たくさんの人が関わって、苦労の中で生み出されるからこそ最後に待っている感動が大きいのではないでしょうか。そのためには、音響的な知識はもちろん、十分なコミュニケーション能力と、何よりお客さんに最高のステージを届けたいという熱い思いが必要だと思いました。今回のイベントを通して、また一回りも二回りも成長したTSMの学生が、次はさらに素敵なステージを作ってくれることを期待しています。

 

取材・文/りんぱ

 


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