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2017/10/3

「さらなる自由を手に入れたSuchmosの選択」 Suchmosレビュー

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今年1月にリリースされた2ndアルバム『THE KIDS』では、彼らのルーツであるブラック・ミュージックやアシッド・ジャズ、ヒップ・ホップ、ロックを曲単位だけでなく、アルバム単位でSuchmosサウンドへと昇華させ、老若男女の音楽リスナーを魅了。いまや彼らは、日本の音楽シーンにおいて若手最重要バンドのひとつにまで成り上がった、と言っても過言ではない。

今作2 tracks CD『FIRST CHOICE LAST STANCE』は、そんなSuchmosが自ら立ち上げたニューレーベル「F . C . L . S . 」からの第一弾リリースとなる作品だ。

オープニング曲の「WIPER」は、既にライブではお馴染のナンバー。イントロから歪みの効いたギターが奏でられ、彼らならではのミクスチャー・チューンを展開。ロックとジャズを行き来しながら織りなすグルーヴィなサウンドと、そこに乗せられたエモーショナルなヴォーカルは、あいさつ代わりにしては強烈すぎる。レーベル立ち上げの理由でもある“変わらずカッコいいと思う音楽を追求するため”を見事に体現した楽曲と言えるだろう。また、ここまでスケールのデカいサウンドをバランスよく巧みに操ることができるのは演奏力の深化の賜物であり、数多くのステージでの経験あってのこと。

対して「OVERSTAND」は、「WIPER」とはトーンが変わって、浮遊感漂うアンビエントなサウンドにライムとフロウを掛け合わせた、聴かせるバラード。全体的にシンプルでスローなサウンド構成と奥ゆかしさを感じさせるヴォーカルは、どこか切なく聴こえなくもない。“OVERSTAND”とは「深い理解」との意味だが、YONCEの仲間や音楽を思う気持ちが反映された歌詞にも注目して欲しい。ここまで感傷的なナンバーはバンド史上初めてで、まさに新境地。この先も彼らのアンセムとして愛されるのではないか。

これからのSuchmosのスタンスを提示するとともに、これまでの音楽性のアップグレードも感じさせる今作。「新たなバンドのチャレンジのLIVE&DIRECT「WIPER」と、この1年で色々な出会いや別れ、自分自信の純粋な気持ちで歌詞を書いたI&I「OVERSTAND」。嘘のない”今”のSuchmosの楽曲です。歌詞では俺とベースのHSUがそれぞれ感じていることをテーマにしています。このタイミングに思ったこと、それが作品になったということは然るべきタイミングだったんだろうと思っています」とはYONCEの言葉。その通り、今作の2曲がどれほどの意味を持つものなのかは、明白だろう。

ニューレーベルの発足と今作のリリース、そしてこの8月にはサマーソニックへの出演を果たしたSuchmos。彼らは、何にもとらわれず、ただやりたいことをやりたいようにやるだけという選択をしたのだ。果たして、その先に彼らは何を見据えるのか。

Text/Design:滝田優樹

PROFILE

2013年1月結成。ROCK、JAZZ、HIP HOPなどブラックミュージックにインスパイアされたSuchmos。メンバー全員神奈川育ち。Vo.YONCEは湘南・茅ヶ崎生まれ、レペゼン茅ヶ崎。都内ライブハウス、神奈川・湘南のイベントを中心に活動。
バンド名の由来は、スキャットのパイオニア、ルイ・アームストロングの愛称サッチモからパイオニアとなるべく引用。
普段からバイブスを共有していた、YONCE(Vo)、HSU(Ba)、OK(Dr)、TAIKING(Gt)、KCEE(Dj)、TAIHEI(Key)の6人グループ。

RELEASE
FCLS02

『FIRST CHOICE LAST STANCE』
[CD]¥1,000+tax
品番:KSCL-2940
※初回仕様限定盤 ストリート仕様
[収録曲]
01.WIPER
02.OVERSTAND

 


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